○人と人の関係性ってどうなっているの?

○人と人の関係性ってどうなっているの?

 ええ歳こいて、こんなことを書くのはまことに気恥かしい限りなのだが、近頃とみに人間関係というものに対して、これまでの人生の過程で大きな思い違いをしてきたのかも知れない、とつくづくと胸に沁みわたるような感じがして、またその感覚が心地よいものであれば、何も問題はないわけだし、ここに、こんなふうに書き綴ることもなかろうに、と思い、それでも書き記したいという欲求が残るのは、書き遺す内実が自己の人生における大いなる思い違いなのかも知れぬという怖さを承知しつつも、やはり僕自身の馬鹿さ加減も含めての生の総括ではないか、といういささか開き直りに近い気分が強く内心に疼くからに他ならない。
 たぶん、僕の裡なる人間関係という概念性は、確実に大人のそれではない。というよりも、大人の付き合いとは何ぞや、と常々思っていたし、確かに表層的な人間関係を含めると、大人のそれはある程度の広がりを持つものだろうが、どうも人生の大半を空費した人間であるにも関わらず、他者との関わりにおいては、青年の頃の、稚拙ではあっても、掛け値なしの思い入れで成り立っているような、深くて、濃密なるものを、いや、そういうものだけを求めて生きてきたような気がしてならない。だからたぶん、僕と同じだけの生を生き抜いてきた人々ならば、お互いに友人とか、知己であるとかという定義が、かなり広いものになっているはずなのである。またそうでなければ、人はまともな生活環境を整えことは出来ないだろう、と思う。生活の知恵とはよく言ったものである。
 間違いなく僕には、この種の生活の知恵というものがまるで欠落しているように思う。だからこそ、つまらない、浅い人間の関係性などになにほどの興味もないし、そのような環境の中に身を置いていると、寒々とした感覚につい、襲われてしまう。とは言え、前記した生活の知恵というものの存在も馬鹿には出来ないのであって、僕のような感性で生きていると、自己の内面で完結してしまった、濃密なる他者との関係性を永遠のごときものと夢見てしまうことがしばしばであり、かたや当然のごとく他者をとりまく環境というものは変わるのであって、それに従って他者の意識も変化していき、他者の僕に対する言動も確実に変質していくのである。またこれが自然な人間の関係性なのかも知れない。いや、きっとそうなのだろう、と思う。それゆえに、人は出会い、別れていくのであろう。そして、この出会いと別れが、生活の知恵という日常的な思想の力によって脳髄の中で自然に整理され、整頓されて、過ぎゆく過去は記憶の彼方に葬られ、新しき出会いによる人間関係が、主な関心事となり得るのではなかろうか?実によく出来た精神構造だと感嘆するが、なぜか僕には、こういう人の入れ替わりが過不足なく脳髄の中で行われ、認識されるような心性というものを認めたくはない、という想いが支配的であり、これはかなりあやしいエセものではなかろうか、とも思うこの頃なのである。
 人間社会における暗黙の了解事項に対して疑問を抱いたその瞬間から、人は他者との距離感を感じてしまう。他者とさらに濃密な関係性を望んでも、当の他者の方から立ち去ってしまう。表層的な人間関係ならば、敢えてそのような関係性など断ち切って差し支えないという覚悟はあるが、同時にそのような覚悟をした瞬間から、底なしの孤独感の中に叩き落とされる。それでよし、と思うが、時折発作のような寂寞感に見舞われるのは、たぶん自分にウソをつかないことの副作用のごときものか、と諦める。
 生きるとは随分と多面的なものだと思うが、こと、人間関係という問題についての僕なりのスタンスが、時折襲い来る孤独という猛毒のごとき苦悩を伴うにしても、その苦悩の底を這いつくばって生き抜いてやろうかと心を定める。たぶん、見たくもない真実をも見てしまうのかも知れないし、それが自分の心を抉るような傷となろうと、敢えて避けられないのであれば、それらの深く切り刻まれるようないくつもの傷を心に刻みつけて生き抜いてみたい、とも思う。孤独な無意味で、不条理な自分一個の闘いである。これからも闘い続けてやろうではないか。今日の観想とする。

○推薦図書「生きる勇気」 パウル・ティリッヒ著。平凡社ライブラリー。僕の書いた内実は、詰まるところ、人間の存在と、存在するための勇気に関わる考察の断片です。その意味で、この書は存在論的哲学論考のおさらいとしてはもってこいのものでしょう。ぜひともどうぞ。お勧めの書です。

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